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「続 拝啓天皇陛下様」 [映画]

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〔1964年/日本〕


幼い頃、家族を亡くし天涯孤独となった山口善助(渥美清)。
小学生の彼は、教師に引率され、
天皇陛下がお通りになるのを見て以来、
天皇陛下が大好きだった。


大人になった善助に召集令状が届く。
たった一人の友人、中国人の床屋・王(小沢昭一)に、
髪を刈ってもらい、出征した善助は、
戦地で、軍犬の世話係を任命される。


三度の飯がありつける軍隊は、
善助にとって夢のような場所だった。
彼に懐くトモハルも可愛くてたまらず、
また、トモハルの元の飼い主・久留宮ヤエノ(久我美子)からの
慰問袋も楽しみの一つで、
善助には何の不満もなかった。


しかし、日本は戦争に負ける。
トモハルを日本には連れて帰れないと上官から言われた善助は、
泣く泣く、ある行動に出る。
日本に着いた彼は、
すぐにヤエノの家に行き、トモハルの首輪を渡す。
ヤエノは大変に美しい、品格のある女性で、
善助はすっかり彼女に惚れてしまう。


戦後の混乱の中、
王と一緒にヤミ屋など様々な事をしながら生きる善助は、
ヤエノに献身的に尽くしてきた。
しかし、彼女の夫が復員する事になり、
ショックを受ける。


その後、アメリカ兵相手の売春婦・恵子(宮城まり子)と
結婚した彼は、
彼女と幸せな家庭を築くはずだったのだが・・・。




タイトル通り、
先日観た、「拝啓天皇陛下様」の続編だが、
主人公は同一人物ではなく、
似て非なる別人。


一般の評価は前作の方が良いようだが、
私はこちらの方が好き。


渥美清扮する山口善吉が、
戦地で面倒を見る“軍犬”という存在が、
奇しくも、先日観た、「戦火の馬」と重なる。
軍馬というのは知っていたが、
犬までが戦争に駆り出されていたのかと思うと、
その、なりふり構わない様子に、情けなくさえなってくる。


そして、敗戦。
混乱する中国で、
犬なんか連れていたら帰れないと話す上官の言葉に、
以前観た、中国残留孤児のドラマを思い出した。


それは、
敗戦後の中国で、息を殺すようにして多数の引き揚げ者が乗っている、
港までの列車内。
赤ちゃんが泣くと、敵に見つかってしまう、
線路脇に置き去りにしろとの大コールが起き、
我が子を捨てる以外に選択肢の無かった母親の物語。
そのショックな内容は、今も忘れる事ができない。


犬を置いていかなければならない理由は、
私が観たドラマとはちょっと違うし、
人間と犬を同列には出来ないけれど、
とても重なるものがあるような気がして。


後半は帰国してからのエピソードが続く。
ラストは、前作同様、
大変に悲しい。
なんでこんな終わりにしちゃうの?と思う。
せめて本作では、
主人公を幸せにしてあげてほしかった。


全体的にはコメディなので、
悲惨さはない。
笑いの中の悲しみ、そんな感じ。


評価 ★★★☆☆

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