「ザ・ロード」 [映画]
〔2009年/アメリカ〕
人類滅亡の危機に瀕した未来。
空は常に曇り、大地は荒れ果てている。
そんな中を歩く、父(ヴィゴ・モーテンセン)と息子(コディ・スミット・マクフィー)。
2人はひたすら南に向かっていた。
南に、何か目的があるわけではないが、
なんとなく、今いる場所よりはマシだろうと、
その程度の理由だった。
生き残っている人々の、
食糧や燃料も残りわずかで、
一部の人間たちは、人肉を食べていた。
そやつらに見つからないように旅する事は大変だが、
仕方のない事だった。
ある日、彼らは、
他人の家の地下倉庫に、
大量の食糧が残っているのを見つける。
久し振りに腹を満たす2人。
しかし、そこも安全ではなく、
外に人の気配を感じた2人は、
リヤカーに食糧を積めるだけ積んで、
また歩き出す。
父は息子で、“善き人”であれと教えていた。
しかしそんな父も、
行き合った老人(ロバート・デュヴァル)に食糧を分ける事に、
良い顔をしなかった。
2人はついに海に辿り着く。
彼らに希望はあるのか・・・。
ヴィゴ・モーテンセン、好きだな。
頭いいんだかチンピラなんだかよく分かんない、
あの雰囲気が(笑)。
「イースタン・プロミス」ではボカシ無しの全裸で大乱闘していたけれど、
この映画でも、全裸になるシーンが多い。
(こちらは後ろ姿だけだったが)
自分の肉体に自信ありと見た(笑)。
・・・って、そんな茶化すような映画じゃないんだけどね。
とってもシリアスで。
とにかく、人に出会うのが怖い。
出会うのはゾンビでもなんでもなく、
人間なんだけど、
人肉を食らう集団なのか、そうでないのかを
見極めなければならない、その緊張感が。
モーテンセンは、自分が息子より先に死ぬ事を想定して、
息子が一人でも生きていけるだけの、
知恵と力を身につけさせねばと思っている。
こんな究極の状態じゃなくても、
おそらく、それは全ての親の願いだろう。
絶対ではないけれど、
高い確率で、子供より自分の方が先に死ぬわけで、
その時、子供が困らないようにって。
だからこそ、モーテンセンのジレンマも分かる。
“善き人”であれと願う気持ちと、
他人の事なんか構ってられない、
食糧を分ける余裕なんかないんだと、
子供に教えなければならない事実と。
息子は、飢えている老人に、
食糧を分けてあげてと父に懇願する、
優しい心の持ち主だ。
この息子が生まれた時、
人類の危機は既に始まっていた。
息子は、豊かな時代を知らないという事だ。
つまりその場面は、人間の性善説を表していると言っていいのであろうか。
それとも、そこまでの深い意味はないのか。
ラストは、少しだけホッとできる。
別に世の中が変わるわけではないのだけれど。
評価 ★★★☆☆
ヴィゴ・モーテンセンは指輪物語のアラゴルン役で初めて知った役者さんなんですが、いわゆる「スター」って感じではないけど良い役者さんですよね。
実生活でも子煩悩な方らしいので、ある意味、このザ・ロードの役ははまり役と言えるのかも。
by 水上耕助 (2012-03-18 17:52)
水上耕助さん
ヴィゴ・モーテンセンはウィレム・デフォーと同じで、
大スターというわけではないのですが、
映画好きにしたら、とても魅力ある俳優さんですよね。
私も彼を意識したのは「指輪~」からです。
調べると、それ以前の出演作も結構観ているのですが、
気に留めた事がありませんでした。
彼の作品で好きなのは、レビューにも書いた「イースタン・プロミス」と、
それから、「ダイヤルM」です。
グウィネス・パルトロウの愛人役がとても良かった。
ウィキペディアを見ると、
彼って子煩悩で、そしてインテリなんですね。
ますます好きになっちゃいました(笑)。
by 青山実花 (2012-03-18 20:29)