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「拝啓天皇陛下様」 [映画]

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〔1963年/日本〕


天涯孤独の山田正助(渥美清)は、
冷たい世間の風にもまれ、
暴力沙汰で服役した事もある男。


そんな彼にとって軍隊は、
三度の飯にありつけ、温かい風呂に入れ、
眠る場所まで用意されている、
天国のような場所であり、
上官に殴られても、他の者が感じるようには辛くも思わなかった。


彼は最初に口をきいたのが縁で、
棟本博(長門裕之)に懐き、
また、そんな山田を堀江中隊長(加藤嘉)は、
何かと気にかけてくれるのだった。


堀江中隊長は、文盲の山田に、
「文字を覚えなくてはいけない」と、
強引に勉強させる。
少しずつではあるが、
読み書きができるようになる山田。


演習の際、本物の天皇陛下が山田の部隊に
視察にやって来た。
初めて見る天皇陛下は、
山田が想像していたよりずっと優しい表情で、
彼はすっかり天皇陛下の“ファン”になる。


ある日、「戦争が終わる」との噂を聞いた山田は、
もっと軍隊にいたいと、
覚えたてのたどたどしい文字で天皇陛下に直訴の手紙を書くが、
それに気づいた棟本は驚き、
不敬罪になると、止めさせる。


戦争が終わり、山田も棟本も、
日常の生活に戻るが、
ある日、棟本は新聞でショックな記事を読む・・・。





軍隊が舞台で、
体の大きい、前科のある文盲の男、
そんな男の面倒をみる戦友、
と、そこまで書くと、
「兵隊やくざ」を思い出すが、
これは「兵隊やくざ」の2年前に作られた映画。


主人公、山田正助は、
「兵隊~」の大宮貴三郎よりずっと不器用で、
大宮ほど世慣れた感じがしない。
その分、映画の雰囲気も、
「兵隊~」よりコメディコメディしているし、
上官も、あちらより怖い印象は残らない。


登場人物たちがみんな良い人たちなんだな。
同じ隊で、一人だけ妻のいる桂小金治が皆にからかわれ、
届いた手紙を朗読させられる場面があるのだが、
その内容の悲しさに、
最初は笑っていた兵隊たちが、
シーンと静まり返ってしまう。
観ているこちらも、笑っていいんだか、泣いていいんだか、
複雑な場面だった。


しかし、その桂子金治の夫婦仲の良さがまた笑える。
その後会った時、
彼は4人の子持ちになった上、
さらに子供を作ろうとして、
山田と棟本を呆れさせる(笑)。


詳しくは書けないけれど、
ラストは悲しい。


評価 ★★★☆☆

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コメント 6

ばん

ツタヤで借りてきて見てみます。
by ばん (2012-03-11 07:28) 

k_iga

ビートたけしが出たドラマ「歸國」脚本・倉本聰の「サイパンから来た列車」
の原作小説もこの映画の原作者・棟田博でした。
by k_iga (2012-03-11 18:34) 

ハマコウ

観たくなりました
by ハマコウ (2012-03-11 20:23) 

青山実花

ばんさん

私もこれはツタヤで借りました。
どうぞご覧になって下さいね。
by 青山実花 (2012-03-13 11:39) 

青山実花

k_igaさん

ウィキペディアで棟田博さんを検索してみましたら、
「兵隊作家」と書かれていて、
ちょっと笑ってしまいました。
そのようなジャンルがあるんですね。

ビートたけし氏のドラマは未見です。
いつか観られるといいのですが・・・。
by 青山実花 (2012-03-13 11:44) 

青山実花

ハマコウさん

ハマコウさんのプロフィールで、
ご職業が小学校の先生だと読ませていただきました。
読み書きの出来なかった山田正助が、
次第に文字を覚えてゆく様子は、
子供に字を教えるのと同じ喜びがあると感じられます。
もし機会があればご覧になって下さいね。
by 青山実花 (2012-03-13 11:56) 

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