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「おばあちゃんの家」 [映画]

obaachannoie.jpg
〔2002年/韓国〕


韓国の山奥の村。
7歳の少年・サンウは、お母さんに連れられ、
ここにやって来る。


失業したお母さんの仕事が見つかるまでの数か月、
サンウはここでおばあちゃんに面倒をみてもらうのだ。
お母さんは17歳の時に家出してソウルに行き、
以来、一度も帰省していないので、
サンウはおばあちゃんに会うのは初めてだ。


腰が曲がり、動作も緩慢なおばあちゃん。
おばあちゃんは耳が聞こえないと教えられていたサンウは、
初対面だというのに酷い言葉を投げつけ、
馬鹿にする。
けれど、言葉は話せないだけで、
耳はちゃんと聞こえている事が、その様子で分かる。


ワガママなサンウは、
一日中、携帯型のゲームを手離さず、
おばあさんが大変な労働をしていても、
手伝おうともしない。
そのくせ、夜は一人でトイレもできない弱虫だ。


ゲームの電池が切れてしまい、
イライラが頂点に達したサンウは、
おばあちゃんに金をせびる。
しかし、そんな金のないおばあちゃんは首をふるばかり。
サンウはおばあちゃんが眠っている間に、
髪飾りを抜き取り、
それを持って、村の商店に行く。
しかし、ゲーム機の特殊な電池を売っている店など、
村にはどこにもありはしない。


そんなサンウに、決して怒る事なく、
深い愛情を注ぐおばあちゃん。
そして、おばあちゃんの様子に、
少しずつ変わり始めるサンウ・・・。






淡々とした小作品だが、おばあちゃんの様子が
素晴らしくいい。


おばあちゃんは、初めて会う、
躾のなっていない孫に、
躍起になって常識を教えてやろうなどとは考えない。
また、一緒になって野山を駆け回ったり、
珍しい田舎の風習を教えるわけでもない。


都会から来た孫が、
いかにしてこの寒村で楽しく暮らせるか、
それだけに心を砕いている。


「ケンタッキーが食べたい」、「ピザが食べたい」と、
言いたい放題のサンウに、
おばあちゃんは鶏を調達してくる。
しかし予想通り、ケンタッキーとは程遠い食べ物が出来上がり、
サンウは怒る。
観ているこちらは、なんだか可笑しいけど。
(なにせ、羽根を毟った鶏を一羽まるまる煮てあるの(笑)。
 参鶏湯みたいな感じ。
 それなら、ケンタッキーよりずっと高級だと思うのだけれど(笑))


たしかにサンウは、
最初に村に来た時よりは、変わる。
けれど、それは劇的というほどではないし、
都会に帰ってしまえば、
おそらくはまた、元の彼に戻ってしまうだろう。


しかし、おばあちゃんと過ごした日々が、
有っても無くても同じなのかと言えば、
それは絶対に違う。
短い期間でも、あの日々は、
サンウの記憶に一生残る大切な思い出になるであろう。


もしこの映画が、
年寄り=善
田舎=純朴
都会=悪
みたいな押しつけがましい表現がされていたら、
きっと好きになれなかっただろう。


メッセージ性はまるでなく、
与えらた環境で人は生きるという事だけ知らされる。
いい映画だ。


評価 ★★★★☆

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