「花実のない森」 [映画]
〔1965年/日本〕
神保町シアターの現在のテーマは、
「監督と女優とエロスの風景」。
この映画館で上映される作品は、
どれもこれも、毎回観たいものばかりであるが、
時間的にも、経済的にも、そう何度もは行けず、
どうしても、若尾文子さんや川口浩様の出演作を中心に
選ばざるを得ない。
あー、神保町シアターの隣に住みたい(笑)。
セールスマン・園井啓介は、
山道を運転中、
車が故障して困っている女・若尾文子に助けを求められ、
彼女を宿泊先のホテルまで送り届ける。
翌日、若尾から、
車内に大切な手帳を忘れたと連絡をもらった園井は、
若尾のホテルに手帳を届け、食事をする。
美しい彼女に園井は夢中になるが、
若尾は自分の事を話したがらない。
そんな謎めいた部分に、
園井の気持ちは更にかき立てられるのだった。
さらに園井は、ホテルで見知らぬ男・船越英二から
声を掛けられる。
船越は、自分を若尾の崇拝者だと言い、
園井を自分のライバルだと位置づける。
ある日、園井は若尾がファッション雑誌に載っているのを発見する。
それを手がかりに、
彼女の身元を調べた結果、
彼女は旧華族の妾の娘で、
山口県の金持ちの家に嫁いでおり、
夫が車椅子生活な為、
時々、東京で遊んでいる事などを知る。
彼女の家を訪ねた園井は、
彼女の兄の田村高廣に会う。
田村はどこか薄気味の悪い男で、
彼にも何か秘密がありそうだった。
ある日、園井は、山口に帰っているはずの若尾が、
都内の薄汚いアパートに入っていくのを、
偶然見かけ・・・。
以前、松本清張の原作を読んだ時、
「なんてくだらないストーリーなんだ」と思った記憶がある。
(偉そうにごめんなさい。
大作家先生も、数ある作品の中にはそういう物もあるって事で)
けれど、そんな感想しか持てなかった小説でも、
若尾文子さんで映画化されている事を知り、
ぜひ観てみたいと思っていたが、
ビデオ化もDVD化もされていないらしく、
諦めていたので、今回願いが叶って嬉しい。
で、映画はどうなのかといえば、
やっぱり2時間ドラマのような展開(笑)。
しかも、園井啓介と船越英二が、
断崖絶壁で対峙する場面まである。
この手のストーリーに断崖絶壁は不可欠なのか(笑)。
ちょっと感慨深いのは、
現在、2時間ドラマのキングと呼ばれているらしい船越英一郎が
船越英二の息子だという事。
親子で断崖が似合うって、凄いと思う(笑)。
(と言っても、私は船越英一郎が断崖に立っている場面を
観た事はないので、あくまでもイメージなのだけれど(笑))
残念だったのは、
若尾さんの兄役が田村高廣だというのを、
観終わるまで気付かなかった事。
「兵隊やくざ」シリーズで、
あれだけ見てきたのになぁ。
あんなに素敵だった「兵隊~」の有田上等兵役に対して、
こちらの役は変態そのもので、
まるで別人。
分かっていれば、「これは有田と同じ人」という目で、
見る事ができたのに(笑)。
評価 ★★★☆☆
子供の頃に覚えた俳優さんの名は忘れませんね。写真右の女性は江波杏子さんでしようか。2枚目の写真はひょっとしたら勝新太郎さんと万里昌代さん(こんな字でしたっけ)ではありませんか。園井啓介さんも覚えています。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-02-23 20:19)
一回は観てみたいです。
by ばん (2012-02-23 23:43)
月夜のうずのしゅげさん
>写真右の女性は江波杏子さんでしようか
そうなんです。
彼女は、園井啓介さんに言いつけられて、
若尾さんの実家にお手伝いに入り込む役を演じておられました。
いいように使われて可哀想でした。
パンフレットの写真は確かに勝新太郎さんと万里昌代さんですね。
「化身」という映画の写真のようです。
観たいけれど、見逃してしまいました。
月夜のうずのしゅげさんの記憶力は凄いです!
by 青山実花 (2012-02-24 16:17)
ばんさん
こういった古い映画を観たい方の為にも、
もっとDVD化が進めばいいのになぁと思います。
いつか観られるといいですね。
by 青山実花 (2012-02-24 16:19)
まあ、それだけ田村高廣が化けるのが上手いということですかね。
by k_iga (2012-02-25 02:02)
k_igaさん
本当ですね。
その確かな演技力で、
役そのものになり切ってしまうのかもしれませんね。
by 青山実花 (2012-02-25 15:21)