「黒蜥蜴」 [映画]
〔1962年/日本〕
東京の大きな宝石商・岩瀬(三島雅夫)の一人娘・早苗(叶順子)は、
“黒蜥蜴”なる人物から、幾度も脅迫状を受け取っていた。
近いうちに早苗を誘拐するというのが、
脅迫状の主な内容であった。
大阪で早苗の見合い話があり、
避難を兼ねて、そちらに移動した早苗と父は、
名探偵・明智小五郎(大木実)に身辺警護を頼む。
父の顧客の一人である緑川夫人(京マチ子)は、
偶然同じホテルに泊まっており、
早苗は夫人と語り合う。
夫人は早苗に知人の雨宮潤(川口浩)を紹介すると言って、
二人で雨宮の部屋に入るが、
早苗はそこで薬を嗅がされ、
誘拐されてしまう。
実は緑川夫人こそが女賊“黒蜥蜴”だったのだ。
その後、明智の部下のおかげで早苗は戻ってきたが、
そんな事で黒蜥蜴が諦めるはずもなかった。
東京に戻った早苗だが、
厳重に警護されているにも関わらず、
彼女は自室から忽然と姿を消してしまう・・・。
くだらなかった(笑)。
くだらなくて、楽しめる。
一人で観るには勿体無いかも。
先日観た、美輪明宏版のと、
話の流れはほぼ同じだが、
あちらに比べて、全員が学芸会をしているみたいだ。
まず、こう書いては大変に申し訳ないのだが、
明智小五郎を演じる大木実さんに、
明智の持つ魅力が全く感じられなかった。
木村功の方がずっと良い。
それから、宝石商の岩瀬を演じる三島雅夫の声が、
異様にでかくて(笑)。
とにかく彼はいつも、
「わーはははは」と高笑いをしていて、
そのうるささと言ったら、モニターのボリュームを下げたくなるほど。
普通の会話にしても、
ホテルのレストランで、「こちらが名探偵明智君だよ」と、
これまた、店内中に響き渡る声で紹介する。
そんな秘密の事を、わざわざ世間に知らしめなくたって(笑)。
もう一つ、岩瀬は、
二言目には明智に、
「君には百万円の金を払ってるんだ」と責める。
彼の頭の中は、金の事でいっぱいらしい。
美輪版も、こちらも、
三島由紀夫の戯曲を元に作られたようだが、
美輪版には三島本人が出ているくらいだから、
ずっと力が入っている事が分かる。
本当にこれは憶測で申し訳ないのだが、
こちらの黒蜥蜴に三島が納得いかず、
6年後に作り直したのかと、そんな事まで考えてしまった。
一つ、嬉しかったのは、
川口浩様が出ていた事。
今回は彼目的ではなく、
純粋に“黒蜥蜴”の2本を見比べたくて、
浩様が出ている事は、レンタルしてから知った。
付け髭で変装する彼が可愛くて見入ってしまった(笑)。
評価 ★★★☆☆
三輪さんのは観ていないのですが、これはとても面白かったです。
「黒蜥蜴~、なんちゃらかんちゃら!」のメロディが、未だに耳から離れません!
明智役は、ろくな役者がいませんね。比較的新しいところでは、陣内とか吾郎ちゃんとか。やはり、天知茂になってしまうのか・・・。
関係ありませんが、「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」の明智の登場は唖然としました。いきなり、「私は明智だ。」とか名乗り出す。
by バラサ☆バラサ (2012-03-02 18:07)
バラサ☆バラサさん
変わった映画でした。
ミュージカル仕立てかと思えば、必ずしもそういうわけではないし(笑)。
明智小五郎のような才覚のある人間を演じる俳優さんは、
なかなかいないという事なのでしょうか。
私はテレビをあまり見ないので、
陣内さんや稲垣さんの明智も知らなくて・・・。
>「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」
これはめちゃくちゃ興味があります。
いつか必ず観てみたいです。
by 青山実花 (2012-03-03 17:27)