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「大菩薩峠」 [映画]

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〔1960年/日本〕


大菩薩峠を旅する老人と孫娘。
孫娘が場を離れた隙に、
突然、老人が着流しの侍に切り付けられ、
死亡する。


やったのは、机竜之介(市川雷蔵)。
最近、あたりで辻斬りが横行しているとの噂だが、
全ては彼の仕業だった。


家に戻った竜之介を待っていたのは、
字津木文之丞の妻・お浜(中村玉緒)。
彼女は次の奉納試合で夫と戦う竜之介に、
手加減を願い出てきたのだ。


その為ならどんな願いでも聞くと言われた竜之介は、
水車小屋でお浜を手篭めにする。
それを知った文之丞は、彼女を離縁するが、
試合で竜之介と向き合った彼の目は殺気立ち、
尋常ではない空気が漂う。
 

結局試合は、竜之介が勝ち、文之丞は死亡。
竜之介は小浜を伴って江戸へ出奔する。


一方、文之丞の弟・兵馬も兄の仇を討つべく、
江戸に剣の修行に出てきた。
竜之介と兵馬。
二人の対決は・・・。





うろ覚えで申し訳ないのだが、
向田邦子さんが、随筆の中で、
「机竜之介」と「眠狂四郎」のネーミングセンスの素晴らしさについて、
触れておられたような記憶がある。
そう言われてみると、
確かに一度聞いたら忘れない、
そして「竜」や「狂」という響きに、
なにか流れるものを感じる気がする。


そうはいっても、私は机竜之介について
名前以外何も知らず、
だから、こんなに嫌な奴だったとは驚いた。
しかし、その嫌な感じ演じる市川雷蔵がめっちゃ上手くて、
見入ってしまう。


彼は行き合った人を理由もなく殺したり、
女と女とも思わない最低の輩だが、
実は良心の呵責に苦しんでいるようで、
何か夢を見ては、うわ言を繰り返す。


竜之介に手篭めにされたお浜が、
彼に懐くというのが、ちょっと納得いかないけれど、
まぁ、とにかく江戸に出た二人の間には、
子供まで生れる。


しかし、日がな一日畳でゴロゴロしている竜之介に、
お浜はだんだん嫌気が差してきて、
口争いが絶えなくなるんだな。
働かない旦那と、それを詰る妻の構図は、
いつの時代も同じだと思うし、
もうお浜は、竜之介が何をしても気に入らず、
嫌味以外の言葉は出てこない。
男女の喧嘩が始まるきっかけの、
典型的な例を見せつけられた感じ。


本当は、新撰組が絡んできたり、
他にも話があるのだが、
どうしても日常的な事に目がいってしまう私(笑)。


その後も色々あり、
竜之介は気が触れたようになるのだが、
その場面の緊張感が圧巻。
見えない亡霊に怯え、
幻聴を聞く彼の、狂気に駆られた様子が凄くて、
それを観ている最中の私は、
ちょっとした物音で、心臓が止まりそうなくらい驚いてしまった(笑)。


ラストは、竜之介と兵馬が向き合った所で終わる。
2作目が楽しみだ。


評価 ★★★★☆

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