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「古都」 [映画]

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〔1963年/日本〕


京都の老舗呉服問屋の一人娘、千重子(岩下志麻)。
両親に愛され、何一つ不自由なく育った彼女だが、
実は彼女は、両親にとって実子ではなく、
赤ん坊の頃、店の前に捨てられていたのを
両親が拾い、育ててくれたという経緯があった。


しかし両親は、彼女に、
決して「捨て子だった」とは言わなかった。
あまりに可愛い女の赤ちゃんがいたので、
さらってきたのだ、と。
実の両親は血眼になってお前を探しているだろう、と。
それは両親の精一杯の愛情だった。


ある日千恵子は、杉林のある山に遊びに行き、
そこで自分にソックリの女性が作業をしているのを見て驚く。
その後、祇園祭りの雑踏の中で、
その女性と再会した千恵子に、
彼女は苗子(岩下志麻二役)と名乗り、
自分たちは双子の姉妹だと言うのだった。


千恵子に惚れている西陣織の職人、秀男(長門裕之)は、
苗子を千恵子と勘違いし、
帯を作ると約束する。
その後、千恵子から事情を聞かされるが、
秀男は苗子の元に出来上がった帯を届け、
結婚の申し込みをする。
しかし、苗子は、自分は千恵子の身代わりだと、
娘らしい勘で察していた。


苗子が初めて千恵子の家に遊びに来た夜、
同じ布団に入った二人は、
将来について語り合うのだった・・・。





川端康成原作。
冒頭から俯瞰で京都の瓦屋根の家並みが映し出されるが、
そこから引き込まれてしまう。


登場人物全員が、たおやかな京都弁で、
映画全体に品格をもたらすのに、
一役買っていると感じる。


岩下志麻の二役もとても上手い。
都会のお嬢さんと、
山育ちの娘をちゃんと演じ分けている。
勿論、お着物やお化粧が違うせいもあるが、
なんというか、醸し出す雰囲気からして全然違う感じ。


もし自分に双子の姉妹がいたとしたら、
どうだろう。
自分と同じ顔で、
同じ背格好で。
生れてからずっとそうなら、違和感はないだろうけれど、
突然目の前に現れたら、
これはかなりショックだろうと推察する。


二人は、そんな互いの存在を否定するわけではなく、
むしろ、相手の幸せを願って、
ベストの選択を模索する。
それがとても良い。
千恵子の両親も、とても気持ちの良い人たちで、
今からでも苗子を引き取って、
分け隔てなく接したいと言ってくれる。
なんだかホッとできる場面。


これは1980年に山口百恵でリメイクされているようだ。
「泥だらけの純情」の時もそうだったが、
つい、二つを見比べたくなってしまう。
今度気が向いたら借りてこよう(笑)。


評価 ★★★★☆

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k_iga

最後の百友映画、という事で熱心なファンの知人と
観に行きました。
北山杉?とか山々が美しかったのと、祇園祭で2人が顔を合わせる
シーンは覚えています。
by k_iga (2012-02-08 02:27) 

青山実花

k_igaさん

なるほど、これは百恵さんの最後の映画ですか。
それはファンの方なら観たくなりますね。
しかも監督は市川崑さん。
ネット上での評価も、
他の百恵さんの映画より高いようです。

山や、まっすぐに伸びた杉は本当に綺麗でしたし、
苗子の人間性を表しているようでもありましたね。

by 青山実花 (2012-02-09 15:20) 

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