「さまよう刃」 [映画]
〔2009年/日本〕
妻を亡くし、男手一つで娘を育ててきた寺尾聰。
15歳の娘は、寺尾にとってかけがえのない存在であり、
また、たった一人の肉親でもあった。
ところが、そんな娘が河原で遺体となって発見される。
薬を打たれた上に凌辱され、
ゴミのように捨てられたのだ。
警察はすぐに動き出す。
担当刑事・伊東四郎と竹野内豊の捜査により、
娘を拉致した男は三人で、
車の持ち主も分かるが、
父の車を運転していたというその若者は、
ドライブしていただけだと言い張る。
そんな中、寺尾の留守番電話に、
犯人の名前と住所を告げるメッセージが吹き込まれる。
告げられたアパートに行ってみた寺尾は、
そこで娘が凌辱されているビデオテープを見る。
驚愕と悲しみで、その場で嘔吐してしまう寺尾。
そして、帰ってきた犯人を刺し殺す。
被害者でありながら、加害者となった寺尾は、
もう一人の犯人を追って、
軽井沢へ行く。
また、寺尾を追って、伊東と竹野内も軽井沢へ。
寺尾は復讐を遂げるのか・・・。
東野圭吾の原作は以前に読んだ。
ラストのシーンは、かなり息詰まる思いで読んだ。
なので、この映画はちょっと惜しい。
寺尾聰があまりにも枯れすぎていて、
娘を殺した男たちに復讐するような、
たぎるような気持ちが伝わってこない。
父親役は、もう少し若い俳優さんの方が
良かったんじゃないのかな。
この映画が公開された時、寺尾は61歳。
15歳の娘を持つ父親には、年が行き過ぎている気がする。
いや、誰が何歳で子供を持とうが、
現実だったら別にどうでもいいんだけど、
これは映画だからね、
もう少しリアリティがあった方が良い。
それから、映画が始まって、
娘はすぐに殺される。
寺尾との交流シーンは、ケータイでの会話のみ。
何か一つくらい、
2人が目と目を合わせて、楽しそうに会話する場面でもあれば、
もっと感情移入できた気がする。
しかし、
映画はともかく、
このような性犯罪が無くなる日は来ないものなのか。
たとえ生きて帰されたとしても、
心を殺してしまう性犯罪は、絶対に許されない。
月並みで陳腐な言葉しか浮かんでこないのが悔しい。
評価 ★★★☆☆
原作も映画も未見ですが、やっぱり切り取っちゃうのが一番。
by k_iga (2012-01-09 03:23)
k_igaさん
私も一応女ですので、
思っていても書けなかったのですが、
考えている事をそのまま代弁してくださって、
ありがとうございます。
by 青山実花 (2012-01-10 13:26)
>この映画が公開された時、寺尾は61歳。
>15歳の娘を持つ父親には、年が行き過ぎている気がする。
年取ってから出来た子どもはかわいいと言いますね。
しかも男手一つで育てて来たのならその哀しみと怒りは・・・。
(そういう意味で年齢の離れた設定にしたのかも。)
加害者に復讐しても子どもは生き返りませんが、私が父親でも
全てを捨てて復讐すると思いますね。
by k_iga (2012-01-14 00:31)
k_igaさん
なるほど、だから寺尾さんが選ばれたのでしょうか。
私もこの娘さんの親だったら同じ事をしたと思います。
復讐に賛否あるのは分かっているけれど、
肉親を殺された人の気持ちは、
想像を絶するものがあると思う。
復讐とは違うけれど、
昨年、死刑が一度も実行されなかったのも、
わたし的には怠慢としか言いようがありません。
by 青山実花 (2012-01-15 08:55)
鳩山邦夫が法務大臣の時、死刑が多くて「死神」とか揶揄されま
したからね。政治家はそういったイメージが付くのがイヤなんでしょう。
サイコパスは存在しますし、中でも性犯罪は再犯率が高い
ので、外国のように犯罪者の住所を公開、とまではいかなくても
もっと厳罰が必要だと思います。
by k_iga (2012-01-15 11:23)
k_igaさん
鳩山さんは普通に仕事をしただけなのに、
一部でしょうが、批判する人がいるというのは
おかしな話ですね。
統計的に見て、再犯率の高い性犯罪は、
もっと厳罰でいいと、私も思います。
性的嗜好は「治る」とか「治らない」とか、
そういった問題ではないですし。
by 青山実花 (2012-01-16 14:54)