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「ラビット・ホール」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


ニコール・キッドマンとアーロン・エッカート夫妻は、
8か月前、
愛犬を追いかけて道路に飛び出し、
車に轢かれた4歳の息子の死から立ち直れず、
苦しみ抜いていた。


2人は、なんとか気持ちを立て直そうと努力する。
子どもを亡くした親の会にも行ってみるが、
車座になって自分の体験を語る会員の、
その空気がどうにも性に合わず、
中座してしまうキッドマン。


エッカートは夜中に一人、
ケータイに入った息子の動画を見つめる。
何度も何度も同じ動画を。


キッドマンは息子の服を処分し、
冷蔵庫に貼られた絵を捨てる。
思い出と決別するように。
さらには、エッカートの動画まで消してしまい、
2人は激しい言い争いとなる。


そんなある日、
キッドマンは息子を轢いた高校生、マイルズ・テラーを見掛ける。
彼は真面目な若者で、
事故も、彼に過失はなかった。
会話をするようになった2人は、
公園のベンチで、テラーの描くパラレルワールドについて
語り合うようになる。
無数に存在するパラレルワールドの別の世界では、
幸せに暮らしている同じ自分がいると教えられたキッドマンは、
次第に心が安らいでゆくのを感じる・・・。





軽々しい事や、分かったような事は絶対に言えないが、
人が体験する様々な死による別れの中でも、
我が子を失う事ほど、
立ち直るのに時間がかかるものは無いのではと思われる。


子どもを失った人は、
みんな自分を責めている。
「あの時こうしていたら」
「あの時こうしていなかったら」
しかしそれを考えていたらキリがなく、
究極は、自分が生まれた事さえ失敗だったと、
そこまで遡りそうな気が、私にはする。


ニコール・キッドマンの演技を、
今まで、上手いとも下手とも思った事がなかったけれど、
この映画は実に良かった。
彼女は物凄く美しくて、
でも、その美しい女がヒステリックになるものだから、
余計に怖く、悲しく感じられる。


実際、彼女と会話していると、
何が地雷になるか分からなくて、
周囲の人はみんな困っている。
普通に会話していても、
全てが自分への当てこすりのように感じられて、
怒り出す。
妊娠している妹の誕生パーティも、
そのせいで、めちゃくちゃになる。


悪人が出てこないのが救い。
息子を轢いたマイルズ・テラーもとてもいい子で、
夫妻も、彼を恨む様子はない。
これは人間の再生の物語。
悲しみは一生消える事はないだろうけれど、
ほんの1ミリずつでも、前に進めたらって、
そう思わされる。


評価 ★★★★☆

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コメント 4

k_iga

ニコール・キッドマン大好きです。昔はキライでしたけど。
上のポスター、ちょっと老けて見えますね。 役作り?
by k_iga (2011-11-27 10:57) 

yonta*

とても気になる作品ではあったのですが、
内容が内容だけに、観るのつらそうだな、と思っていました。
ニコール・キッドマンのヒステリックな様は、怖くて痛いでしょうね・・
でも、高校生に過失がなく、夫妻も恨んでいないというのに
少しほっとしました。
悲しい時は、人のせいにできる方が、気持ちが少し楽になる場合も
あるかもしれないですが、人を恨むのって結局消耗してしまいますし。
by yonta* (2011-11-27 22:25) 

青山実花

k_igaさん 

この映画のニコールは良かったです。
(他の映画も別に悪くはないんですが(笑))。

老けてますか?
悲しみに沈んでいる役柄なので、そう写っているのでしょうか。
by 青山実花 (2011-11-28 16:29) 

青山実花

yonta*さん

たしかに辛いです。
そしてその辛い役をニコールが熱演していました、
アーロン・エッカートとの喧嘩のシーンや、
母や妹に当り散らすシーンなどは、
ため息が出ましたよ。

本当ですね。
高校生が真っ当な子だったのが救いです。
恨みや憎しみからは何も生れないと思うし・・・。
機会がありましたら、ご覧になって下さいね。

by 青山実花 (2011-11-28 16:34) 

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