「命美わし」 [映画]
〔1951年/日本〕
神保町シアターで観た。
会津若松の鶴ヶ城は、自殺の名所として有名なお濠がある。
そのお濠の傍で暮らす図書館長、笠智衆は、
今までに何人もの自殺志願者を救ってきた。
今夜は、初めて一晩で2人の自殺志願者が出る。
1人は、次男、佐田啓二の同級生で、
市会議員の息子に妊娠させられた桂木洋子、
もう1人は、幼い息子を亡くし、自暴自棄になった淡島千景である。
長男で新聞記者の三国連太郎は、
議員の息子の非道ぶりを記事にするが、
以前から桂木を好きだった佐田は、
彼女と一緒に家出。
議員から、「妊娠させたのはお宅の息子ではないか」と
言われてしまう。
また、三国は、飲み屋で働く淡島に再会。
せっかく救われた命を粗末にする淡島を怒るが、
逆に、飲み客たちに殴られてしまい、怪我をする。
しかし、その場に居合わせた桂木の父は、
議員の告訴を決意。
それをきっかけに、
話は幸せに向かって進み始める・・・。
自殺の名所での出来事がテーマという事で、
どれほど暗い話なのかと思っていたけれど、
そのような事はなく、
とてもコミカルで、
劇場内からは、笑い声が聞こえていた。
まず、主人公一家がめっちゃ豪華。
父、笠智衆、
母、杉村春子
長男、三国連太郎
次男、佐田啓二
長女、小園蓉子
この面子の濃さだけで驚いてしまう(笑)。
奇しくも、先日観た、「ステキな金縛り」では、
三国連太郎の息子の佐藤浩市と、
佐田啓二の息子の中井貴一が、
共演していた。
これも何かの因縁かと、
映画っていいなぁとしみじみ思う。
笠さん杉村さん夫妻の掛け合いが、
可笑しくてたまらない。
笠さんは、自殺者が出そうな晩は、
「予感がする」とか言って、
お濠の淵を竹竿を持って見回っているし、
杉村さんは、佐田啓二の性格を他人に説明する時、
いつも決まったセリフを言って、
しまいには、笠さんに止められているし(笑)。
2人とも、子どもには厳しすぎず、甘過ぎず、
古い日本の父母な感じがとても良い。
理想の両親だ。
以前に助けた男女が、
赤ちゃんを連れて遊びにくる場面もいい。
2人は数日違いでお濠に飛び込もうとして助けられ、
それがきっかけで知り合って結婚したという。
なんだかホッとした。
評価 ★★★☆☆
そんな主人公一家が、もし近所に住んでいたら・・
妄想してしまいました(笑)。
でも、コミカルであたたかくて、いい映画のようですね。観てみたいです。
by yonta* (2011-11-08 00:29)
yonta*さん
そんな家族が近所にいたら濃いでしょうね。
特に息子が2人ともハンサムすぎて、
ドキドキしてしまう(笑)。
本当にとてもいい映画でした。
こんな風な、地味なせいで埋もれている映画を、
もっともっとDVDにしてほしいと思いますね。
by 青山実花 (2011-11-11 13:10)