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「ディア・ドクター」 [映画]

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〔2009年/日本〕


山あいの小さな農村。
ある日の夕方、バイクで診療所を飛び出したまま帰ってこない、
村でたった一人の医師、笑福亭鶴瓶を心配した村人たちは、
警察に通報、
二人の刑事、松重豊と岩松了が捜査を担当する事になる。


鶴瓶は、数年前に無医村であるこの地にやって来た。
優しく、熱心な鶴瓶は村人の信頼を得、
診療所はいつも満員だ。


鶴瓶が失踪する2か月前には、研修医、瑛太もやって来て、
鶴瓶の仕事を手伝う。
瑛太は開業医を父に持ち、
真っ赤なスポーツカーを乗り回すようなドラ息子で、
初めは、老人しかいないこの僻地の診療所に抵抗を感じていたが、
鶴瓶の、村人に対する態度に触れてゆくうちに、
この村に留まりたいと思うようになるまで、成長してゆく。


ある日、鶴瓶は、村の老女、八千草薫を診察する。
彼女の胃は、相当に悪い状態のようであった。
八千草の娘、井川遥は東京で医者をしており、
しかし、娘に迷惑をかける事を嫌った彼女は、
鶴瓶になんとかしてほしいと願い出る。


夏休みを利用して帰省してきた井川は、
母の具合が悪そうである事に気付き、
鶴瓶に、どのような治療をしているのか質問攻めにする。
最初は鶴瓶の治療に懐疑的だった井川だが、
彼の説明に納得、礼を言う。


ところが、その時である。
不意に立ち上がった鶴瓶が、
診療所を飛び出し、そのまま二度と帰ってこなかったのは。
なぜ彼は急に失踪したのか。
松重と岩松が調べるうちに分かってきた、彼の正体とは何だったのか・・・。





「ゆれる」の西川美和監督の映画。
たしか「ゆれる」も明確な答えのないラストであったが、
この映画も、
鶴瓶の正体を明かしてはいるが、
彼がそうなった明確な理由までは、明かされていない。


深いんだか、浅いんだか、
よく分からない内容。


しかし、彼が失踪するきっかけとなった、
井川の言葉には重みがあった。
彼女は鶴瓶に、母への適切な診療の礼を言い、
「次に帰省するのは多分一年後になると思われます。
 その時まで母の診察をよろしくお願いします」と頭を下げる。


私が鶴瓶の立場でも、
そんな事を言われた日には、
逃げ出したくなるだろう。
詳しく書けないのがもどかしいが。


瑛太が医師として、この村で診療を続けたいと、
鶴瓶に打ち明けた時の、
会話の噛み合わなさが笑える。
日本語っていいな、面白いな、と思わされる、
とてもいいシーンだと思う。


ラスト、ある出来事があり、
笑い出す八千草薫。
その、なんとも言えない微妙な笑い顔の演技が素晴らしくて、
そこだけDVDを戻して、
もう一度観てしまった。
やっぱりベテランね。


評価 ★★★☆☆

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コメント 2

yonta*

八千草薫が、鶴瓶演じる「先生」を頼りにしているというか、
拠りどころにしているっていうか・・・あのふたりの雰囲気が
けっこう好きです。
瑛太がまっとうに成長していく様子も素直でしたね。
ラストの八千草さんの笑顔、かわいらしかったです。
by yonta* (2011-08-28 22:13) 

青山実花

yonta*さん

たぶん、元は村の美人奥さんであったであろう八千草薫と
鶴瓶のやり取りは、
二人だけの時間が流れていて、いいですね。

ラスト近く、瑛太が保身に走った様子も、
気持ちは分かりましたね。
ああ言うしかないですもん。
by 青山実花 (2011-08-29 15:19) 

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