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「クロッカーズ」 [映画]

Crockers.jpg
〔1995年/アメリカ〕


ニューヨーク、ブルックリン。


麻薬の密売をしている黒人青年、メキー・ファイファーは、
元締めのデルロイ・リンドから、
別の売人、ダリルを殺害しろと命じられる。



ダリルの遺体が発見され、
捜査に乗り出す刑事、ハーヴェイ・カイテルとジョン・タトゥーロ。
しかし自首してきたのは、
ファイファーの兄で、
高潔な人物で知られるイザイア・ワシントンであった事から、
話は混乱してゆく・・・。





アメリカの黒人社会が抱える、
麻薬・銃・暴力・犯罪の低年齢化等を描いた問題作。


しかし、監督がスパイク・リーのせいか、
視線はあくまでも黒人側であり、
観る者の共感が得やすい作りになっていると思う。


街は酷い状態だが、
そんな中で男の子を育てている母親が、
自分の息子だけは、
なんとか悪の道に入らないようにと、
道端にたむろするファイファーたち麻薬の売人に、
「この子には絶対に関わるな!」と食ってかかる場面に、
子を思う母の強い心を感じて、不思議な安堵感があった。


ハーヴェイ・カイテルも大変に良い。
黒人社会の中で、
なんとか彼らを真っ当にしようと、
動き回る白人、という設定がピッタリ合っている。
悪徳警官を演じることもある彼だが、
それとはまるで別人のようで、
さすがに上手い俳優だなぁと感心。


ラスト近く、ファイファーはカイテルに、
「なぜそんなに一生懸命なんだ。  
 黒人同士の殺し合いなんて、あんたにはどうでもいいだろう」と、
悪態をついたのに対して、
カイテルはやはり悪態で返す。
しかしカイテルは、
「お前は街を離れろ」とファイファーを駅まで送る。
それはカイテルがファイファーにやってやれる、
最後の、そして唯一の仕事であり、
環境を変える以外、更生の道はないという、
スパイク・リーの答えでもあるのだろうかと思う。


評価 ★★★★☆

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