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「家族シネマ」 [映画]

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〔1998年/韓国〕


AV女優で、在日韓国人三世の松田いちほは、
ひょんな事から、自分の家族のドキュメンタリー映画を撮る企画に乗る。


撮影初日、
父(梁石日)、母(伊佐山ひろ子)、姉(柳愛里)、弟(中島忍)、松田の5人は、
柳のマンションに集まる。
家族全員が集まるのは数年ぶりの事で、
食卓を囲んでの会話が撮影されてゆくが、
気性の激しい父と母は、カメラの前で罵り合い始める。


母は、生活費もくれずに自分だけ贅沢をし、
さらに、毎日のように家族に暴力を振るってきた父を恨んでいたし、
また父は、キャバレー勤めで、男出入りの激しい母を、
これまた恨んでいるのだ。


その日の撮影が終わるが、
柳は母から、相談があると呼び出される。
母は、現在、父が一人で住んでいる一軒家を担保に、
なんとか金を借りられないか、
いや、いっその事、売ってしまったらどうか、と言うのである。


二回目の撮影は、父の家で行われるが、
その時、母は、家の売却の話を父に持ち掛ける。
しかし、父は承諾しない。
それどころか、またこの家で家族みんなで暮らさないかと言う。


三回目の撮影は、
なぜか家族がキャンプに行くという設定に決まる。
ロケバスで山奥に行き、
バーベキューをし、温泉につかる家族。
その間も、カメラはずっと彼らを撮影していた。
果たして映画は出来上がるのか、
そして家族は・・・。





愉快だ。
ただ、この愉快な気持ちを、私の文章力では、説明するのが難しい。
まず、このDVDを借りた理由というのが、
私の大好きな、在日韓国人作家、
梁石日さんが主演しているからなのだよ。


なぜに作家の梁さんが映画で主演?と思ったのだが、
この映画の原作が、やはり在日の柳美里の同名小説で、
だから、日本人の私には分からない、
何か繋がりみたいなものがあるのかと、
そんな風に解釈したのであるが。


で、梁さんの演技がもう、笑っちゃうくらい棒読みで(笑)。
しかし、素人の家族が映画を撮るという設定であるからして、
これでいいのかと思ったりもして。
なにより、大好きな梁さんを初めて映像で見られた事が嬉しい。


梁さんの本は、一時はどっぷり浸かるくらい読み、
友人たちにもかなり勧めた作家だ。
殆どが、在日韓国人を主人公としている内容で、
日本人にはない人間関係が、
力強い文章で描かれている為、
この映画の登場人物たちの世界観も、少しは理解できる。


そして、なにより面白かったのは、
柳美里の自伝的小説、「水辺のゆりかご」に描かれている、
彼女の育った家族が、
そのまま、この映画で表現されていた事。
「水辺のゆりかご」の内容の強烈さは、
とても言葉では表現できない。
あまりに強烈な為、
逆に、時々読み返してしまう、麻薬のような作用がある。
だから、あの本の世界が映像化された事が、
なんだか可笑しかったのだ。


ただ、基本的に、柳美里は苦手だけど(笑)。


長女を演じる柳愛里は、柳美里の妹だそうで、
柳美里にソックリだ。


ものすごく個人的な好みで、この点数。
梁さんが出ていなかったら観なかったと思うけど(笑)。


評価 ★★★★☆

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