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「失われた週末」 [映画]

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〔1945年/アメリカ〕


売れない小説家、レイ・ミランド、33歳は、
兄フィリップ・テリーと旅行に出掛ける為、荷物をまとめていたが、
どこか様子がおかしい。
しきりに窓の方を気にしているようだ。


実はミランドは重度のアルコール依存症で、
今回の旅行は、彼をアルコールから引き離す為の
兄の計らいだった。
兄は部屋中の酒を全て処分したつもりだったが、
ミランドは酒瓶を一本、窓の外に吊るしているのだ。
しかし、結局それも見つかってしまう。


ミランドの恋人、ジーン・ワイマンがやって来る。
しかし、ミランドは無理矢理、兄とワイマンを外に出す事に成功し、
自分は酒を買いに出掛ける。


近所の酒屋も、バーの主人も、
彼の依存症は知っており、皆、冷たい。
しかし金を出されれば、酒を売らないわけにはいかず、
結局、飲んでしまう。
帰ってきた兄は、酔ったミランドにいい加減うんざりし、
一人で旅行に出掛けてしまう。


翌日も朝からバーに行き、飲み始めるミランド。
彼はワイマンとの出会いをマスターに語って聞かせるが、
マスターの冷たい視線は変わらない。


別のバーに行った彼は、
飲み代が足りず、隣の席の女性のバッグを盗むが、
すぐに見つかり、店を追い出される。


その後、階段から落ち、
病院に担ぎ込まれ、しかし、そこを抜け出し、
自室で幻覚に悩まされ、と、
アルコール依存症の人が辿るお決まりのコースを行く。


しかし、彼には、常にワイマンの愛情があった。
献身的に尽くし、心から心配してくれる彼女の姿が・・・。





私は、自分から積極的の酒を飲む事はないので、
レイ・ミランドの気持ちは、正直理解できず、
こうなってしまってはお終いだという気持ちの方が強かった。


専門家ではないので、よくは分からないが、
映画を観た限り、
彼は人一倍小心者で、自分に自信がないように思えた。


ワイマンがミランドに両親を紹介するからと、
ホテルのロビーで待ち合わせた時、
彼女の両親に会う自信がない彼は、
約束を反故にし、逃げるように酒に走ってしまう。
観ているこちらは、もっと堂々としていなよ、と思うけれど、
彼には難しいようだ。


それにしても、酒代がないからと、
他人の金に手を付ける所まで落ちては、救いようがない。
それは人間の尊厳に関わってくる。


さらに、何より大切な商売道具の
タイプライターまで質に入れようとした時点で、
もう人生を捨てていると言っていいだろう。


彼には、彼を心から愛してくれる、
ジーン・ワイマンや兄がいて、
なんとか立ち直れるようにと努力してくれるが、
現実は、なかなかそうはいくまい。


アルコール依存症をテーマにした映画といえば、
「酒とバラの日々」や、「男が女を愛する時」などを思い出すが、
この2作は、主人公に子供がいるので、
この映画以上に悲しかった。
いつの時代も、この問題で悩む人は、
一定数いるって事か。


評価 ★★★☆☆

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