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「宇宙戦争」 [映画]

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〔1953年/アメリカ〕


20世紀半ば、
火星人は、新しい居住地を探して、
星々を物色していた。
様々な条件を照らし合わせた結果、
地球に狙いを定める。


ある夜。
鯨ほどもある巨大な隕石がカリフォルニアの丘に落ちてくる。
人々は驚き、集まってくるが、
真赤に燃えていた隕石の熱が下がってきた時、
蓋が開いた。
隕石だと思っていたのは、
火星からの円盤だったのだ。


円盤は世界各国に現れ、
人間や建造物を攻撃し始める。
アメリカは軍隊を出動させて対応に当たるが、
火星人の強さには、まるで歯が立たない。


調査を依頼された物理学者ジーン・バリーと、
現場に居合わせた女性科学者アン・ロビンスンは、
逃げ込んだ廃屋で火星人と遭遇するが、
なんとか撃退し、
その時、機械のレンズの部分と、
火星人の血液を採取する事に成功する。


街では人々が暴徒と化し、
乗っていた車は奪われ、
殴り合いになっていた。
バリーはロビンソンを探しに教会に入ると、
そこでは人々が静かに祈りを捧げていた。
しかし、火星人の攻撃は、
もうそこまで迫ってきていた・・・。





2005年にスピルバーグでリメイクされた本作、
しかし、その52年前の作品だからといって馬鹿にしたものではない。
大変に面白く、
最後まであっと言う間に観てしまう。


まず、火星人が、太陽系の惑星の中から、
自分たちの住めそうな星を探す場面が、
映像とナレーションで描かれるのだが、
それが大変に分かり易く、
また、面白い。
一つ一つの惑星の説明が丁寧になされ、
結局、消去法で地球が選ばれた理由もよく分かる。


火星人が地球に来てからも、
映像は古いなりに、とても上手くできていて、
グリーンとシルバーの二色で成っている円盤は、
デザインも中々凝っている。


地球人が円盤に向かって攻撃すると、
円盤は自らの周りをバリアで防御するのだが、
その透明のバリアが、
見えそうで見えない、見えなさそうで見えるといった、
大変に上手い映像で、
なんだか感心してしまった。


円盤が日本を攻撃したという場面もセリフもなかったが、
(中国はあった)
世界地図に、攻撃された国が黒く塗られており、
日本もその一つなのが見えた。
もしこれが現実なら、
円盤なんか来ない方がいいに決まっているが、
映画だと逆に、黒く塗られた事に安心してしまう。
無視されてなくて良かった、みたいな。
おかしなものだね(笑)。


内容とは関係ないけれど、
人々が暴徒化した場面を観て、
先の震災で、日本人被災者の冷静な態度に、
世界各国から感嘆の声が上がった事を
あらためて思い出した。
もちろん、状況が違うのは分かっているけど、
この先もずっと、何が起こっても、
日本人はそんな心を失わずにいられるといいなぁと思う。


評価 ★★★★☆

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コメント 4

水上耕助

宇宙戦争と言われると、映画よりもまず、オーソン・ウェルズがドラマ化してラジオで流したら、聞いていた人が火星人侵略を信じてしまいパニックになったという逸話を思い出します。
(どんな放送だったか気になるんですが、もし運良く音源が手に入っても英語だからわからないんですよねえ(笑))
by 水上耕助 (2011-07-05 21:39) 

坊や

強烈でした。高度に進んだ技術力の前に地球人は全く歯が立たず、
めちゃメタにやられ放題。円盤群は数え切れない程襲来し、破壊をし
続ける・・ 
絶望。壮大な力の差は神のご威光にさえ感じて
人間は無力で有るとの烙印を押された気分で観てました。 
救いの結末も人間達では無かったし・・

特撮がとても良く出来ていましたね。レメイク版よりこちらが僕は好みです。

日本人はそもそもパニックに慣れない歴史文化を持ち合わせていると思います。 耐え難きを耐え、偲び難きを偲んできた先人達の苦悩と苦労が
今の現代人の赤い血にも受け継がれていると信じます。

by 坊や (2011-07-06 11:10) 

青山実花

水上耕助さん

確かに、その時の放送を聞いてみたいですね。
どこかに残っているのでしょうか。

それから、
ラジオ放送を信じ、パニックになれるくらい純粋だった、
当時の人々を羨ましく感じたりもします。
刺激に慣れ切った今は、
何を見ても、
「どうせヤラセでしょ」とか、
「有り得ない」とか、
そんな感想ばっか。
それはある意味、悲しい事です。

by 青山実花 (2011-07-06 22:04) 

青山実花

坊やさん

そうなんですよね、
米軍は最終的に、原爆で攻撃しましたが、
それでも円盤は倒せなかったですね。
(今の雰囲気では、原爆は禁じ手ではないかという
気もしますが)。

私もこちらを観てしまうと、
リメイクは大した事ないように感じます。

日本人は「恥」という事を知っているのですよね。
人を押しのけてまで助かりたいとか、
人の物を奪ってまで生き延びたいとか、
そういうのは恥だと。
素晴らしい国民性だと思います。

by 青山実花 (2011-07-06 22:09) 

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