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「秀子の車掌さん」 [映画]

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〔1941年/日本〕


山梨の田舎の農道を走るオンボロバス。
高峰秀子は、そのバスの車掌さん。
運転手の藤原釜足と息の合った仕事ぶり。


今日も、停留所ごとにアナウンスをするが、
実は誰も乗っていない。
客は、他社の綺麗なバスの方に乗ってしまうのだ。


たまに乗ってくるのは、
バスを荷物の運搬車と勘違いしているような人たちばかり。
鶏を連れて乗り込む人もいる。


バス会社の社長は、
金の事しか頭にないような業突張りで、
採算の取れないこのバスを、
快くは思っていなかった。


車掌の仕事が大好きな高峰は、
この状況を打開したいと考えていた所に、
ある日、ラジオから、
どこかのバス会社の車掌が名所旧跡をアナウンスしながら
仕事をしている事を知り、
自分にもそれが出来ないかと考える。


藤原に相談し
そのアナウンスの原稿を、
東京から来て、長期滞在している作家先生にお願いする事を決め、
先生が逗留する旅館を訪ねる。


数日後、先生は立派なアナウンスを考案してくれ、
高峰にそれを読ませ、練習させる。
その計画は上手くいくのか・・・。





とにかく牧歌的で、
のんびりと楽しめる映画。
自分も、田舎の農道を、
高峰秀子のアナウンスを聞きながら、
バスに揺られているような気分になる。


一番驚いたのは、
高峰が仕事中に、バスを止めてもらって、
沿線にある実家の母に届け物をする場面。
客は待たされているにも関わらず、
誰も文句を言わないし、
イライラしている様子もない。
今だったら、大問題になるであろうこの場面が、
逆に、いつも何かに追われるようにして生活している私には、
とても羨ましく感じた。


高峰秀子は、16歳だそうで、
本当に可愛い。
自分の仕事に生き甲斐を感じている様子も、
とても好感が持てるし、
藤原釜足とも、本当に仲が良さそうで、
二人が一緒にいるとホッとする。
東京へ帰る作家先生を見送る場面も素晴らしい。


ラストは意外な展開。
なんというか・・・、
やっぱり書かないでおこう。


評価 ★★★★☆

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コメント 4

k_iga

映画「異人たちの夏」でマンションで「カルメン故郷に帰る」を観る場面がありますね。
by k_iga (2011-06-29 07:27) 

坊や

小学校をバスで通学してた頃、帰りのバスの時間は大体決まってたのですが「その時間」のバスには車掌さんが若いお姉さんで、そのバスに乗りたくて2~3本待ってた事もありました。 いつのまにかお姉さんも覚えてくれていて内緒で飴玉もらって嬉しかったなぁ~。(マセがき)
ある日を境にお姉さんと全く合えなくなって、日が暮れるまでバスを待ってました。一週間くらい続けたかな。 とても寂しい気持ちだったのを今でも
覚えています。 ワンマンに変わった今でもその光景が頭に浮かび、
一瞬お姉さん車掌を探してしまいます。
高峰秀子さんの様に素敵でした。・・・たぶん。?
by 坊や (2011-06-29 14:16) 

青山実花

k_igaさん

「カルメン故郷に帰る」は、
佐野周二がとにかく素敵でした。
彼とオルガンにまつわるエピソードだけで、
お話ができそう。
高峰秀子はちょっとアホっぽかったですね(笑)。
by 青山実花 (2011-06-30 13:20) 

青山実花

坊やさん

素晴らしいお話ありがとうございます。
とても可愛い小学生ですね。
ガイドさんもきっと坊やさんを可愛く思っていたのでしょう。
本当に、この映画の高峰さんみたいに、
素敵な方だったのだと思います。

それにしても、そのガイドさんはどうされたのでしょうね。
路線が変わったのか、
仕事を辞めたのか、
それとも、お嫁にでもいかれたのか・・・。
真相を知りたいけれど、
知らない方がいいのかな・・・。

by 青山実花 (2011-06-30 23:16) 

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