「黒水仙」

〔1947年/イギリス〕　


イギリスの修道女、デボラ・カーは、
インドの山奥、ヒマラヤに近い辺境の地の僧院に、
責任者として赴くようにとの命を受ける。
そこは、学校と病院を兼ねており、
現地で子供と女性に教育を施すのが目的だった。


4人の修道女を選び、その地に到着した彼女たちを待っていたのは、
現代文明に毒されていない、
現地のインド人たちだった。


なんとか軌道に乗り始めた僧院だったが、
そこで暮らすたった一人のイギリス人、デイヴィッド・ファラーは、
彼女たちをどことなく嘲笑の眼差しで見つめていた。


修道女の一人、キャスリン・バイロンはひねくれた性格で、
カーとはソリが合わず、
さらに、バイロンはファラーに片思いしてしまい、
何かとカーを悩ませる。


また、年長の修道女、フローラ・ロブスンは、
現地での仕事に限界を感じ、
転任を願い出るなど、
思うより、事は順調に進んではいなかった。


ある日、バイロンは、ファラーを思うあまり、
信仰を捨てようと、聖衣を脱ぎ、黒い服を着、化粧をし、
カーの静止を振り切って、僧院を出る。
ファラーの家で愛を告白するバイロンだが、
拒絶された彼女は、
それをカーのせいだと思い込む。
狂気に走ったバイロンは・・・。





宗教の素養は全く無い私だけれど、
別に難しい事はなく、すんなりと楽しめた。


嫉妬に駆られたキャスリン・バイロンが、
次第に狂ってゆく表情がめっちゃ怖い。
まるでホラー映画のような趣である。


当たり前の事だけれど、私は修道女にはなれないと痛感。
修道女だからといって、聖人君子ばかりではなく、
意地悪もいれば、我儘もいる。
（私が一番そうかもしれぬ(笑)）
気の合わない人間もいるだろうし、
派閥も生まれるだろう。
仕事なら割り切る事もできるが、
宗教の名の下だから、余計に始末が悪そうだ。


修道女たちが赴いたインドの山奥が、
セットだというから驚きだ。
切り立った崖を利用して建てられた僧院は、
まるで本物で、
観終わってから、調べるまで、
本当にヒマラヤで撮ったのだとばかり思っていたのだ。


デボラ・カーは、修道女になっても美しい。
彼女が尼僧になった理由が、
回想シーンと、デイヴィッド・ファラーとの会話で分かってくるのだが、
あんなに綺麗なのに、生涯尼さんなんて宝の持ち腐れ(笑)。
彼女の、あまりに禁欲的な様子に、
かえって変な色気を感じたよ。


評価　★★★☆☆

コメント 6

きれいな女優さんですね^^
ほんと青山美花さんのレビューは観たこともない
知らない映画を紹介してくださるので、
へぇー、こんな映画もあるのかぁって思いながら読ませて頂いてます。
まとめたら１冊の映画レビューの本になるかも☆
by とみっち (2011-05-28 10:20) 

とみっちさん

デボラ・カーは本当に綺麗ですよね。
憧れてしまいます。

それから、滅相もないです。
こんな拙いブログ、開いてくださること自体が、
申し訳ないような気持ちでいます。
いつもありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。

by 青山実花 (2011-05-29 16:58) 

稀に街で修道女の方に出会うんですけど、２～３人連れで小柄な方が
多いですね。
私はキリスト教徒ではありませんが、もし牧師や修道女の人にじ～っと
見つめられたら、
「すみませ～ん、小学２年の時に消しゴム１個、万引きしました」と
告白すると思います。あ、書いちゃった。
by k_iga (2011-05-30 00:53) 

k_igaさん

ではでは、私は小柄なので、
修道女になる条件に合っているかもしれませんね（笑）。

小学校2年生で消しゴム。
可愛いですね。
神様もきっと許して下さる事でしょう（笑）。
私が懺悔するとしたら、なんだろう、
「すみませ～ん、仕事中にブログをしています。給料泥棒です」と
いったところでしょうか（笑）。
by 青山実花 (2011-05-30 16:43) 

牧師や修道女さんに畏敬の念を覚えるのは「エクソシスト」の影響も
あるかと・・・。
うちの部署には毎日キッカリ３時間私語に費やし、３時間残業する
２人組の女性がいますが上司も何も言いません。変な会社。
by k_iga (2011-05-31 06:48) 

k_igaさん

「エクソシスト」いいですよね～。
あれをホラーだからという理由だけで敬遠する方がいるのは、
本当に勿体無い事です。

3時間お喋りして、3時間残業とは、
人生の時間を物凄く無駄に使われているような・・・(笑)。
その3時間があれば、
映画なら一本、本ならかなり読み進められるのに。
ちなみに私は残業が大嫌い(笑)。
by 青山実花 (2011-05-31 13:15)