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「けものみち」 [映画]

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〔1965年/日本〕


旅館で住み込みの女中をする池内淳子。
彼女には脳軟化症で寝たきりの夫がいたが、
その事は隠して働いていた。


ある日、池内は、
客としてやってきたホテルの支配人、池部良に目を付けられ、
もっと金になる仕事をしないかと持ち掛けられる。
けれどそれには条件として、
全ての係累を断ち切らなければ駄目だと言われ、
深夜、自宅に火をつけて、夫を焼き殺す。


池内が連れて行かれた先は、
政財界の黒幕、小沢栄太郎の邸宅で、
そこで彼女は小沢の夜の相手を務める事になる。
小沢は中風で寝たきりだったが、
池内にせまる事が回春の役目を果たしているが如く、
執拗に池内を求めてくる。


池内は、小沢の相手をしつつも、
一度関係した池部が忘れられず、
職場に電話をしたり、会いに出掛けたりと、
彼の周囲をうろつく。
池部は今一つ素性のハッキリしない男で、
何か後ろ暗い過去がありそうだ。


一方、池内の自宅の火事と夫の死は、
事故として片付けられていたが、
それを不審に思い、
独自に調査をしている男が、
刑事である小林桂樹である。
彼は、旅館を辞め、姿をくらました池内の居所を突き止め、
彼女の行動を追う。
そして次第に、小沢や池部の過去が明らかになる。





原作はもちろん、
松本清張の同名小説。
内容の濃いあの小説を
1本の映画でどのように表現するのか興味を持っていたが、
小説の雰囲気は上手く表現できていたと感じる。


池内淳子の悪女っぷりがハマリ役で、
最後まで飽きさせない。
池内といえば、なんとなくテレビドラマのお母さん的なイメージだったが、
昔はこんなに綺麗で、
こんな役もしていたのだと、
映像というものの面白さを思った。


奇しくも、
池内、池部、小林の3人は、
昨年、ほぼ同時期に亡くなっている。
私が昨日、本作を観たのは偶然で、
その事は観終わった後、思い出した事だが、
一人勝手に、何か因縁めいたものを感じてしまった。


そんな風に、
素晴らしい俳優さんたちが、
亡くなられてゆくのは惜しい事です。


評価 ★★★★☆

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