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「女の勲章」 [映画]

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〔1961年/日本〕


現在の神保町シアターのテーマは、
「女優とモード 美の競演」。
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自宅で小ぢんまりと女の子たちに洋裁を教えていた京マチ子は、
その時の弟子だった、若尾文子、叶順子、中村玉緒の三人を連れ、
甲子園に大きな洋裁学校を開いた。


元々が大阪は船場のお嬢さんだった京は世事に疎く、
学校の運営は、いつの間にか入り込んでいた、経営手腕に長けた男、
田宮二郎が牛耳っていた。


田宮の頭の中は金と野心しかなく、
大阪、京都、東京と、次々と京の名前で洋裁学校を作る。
そればかりか、その時に応じて、
京、若尾、叶、中村の4人と関係し、
それぞれを各学校の責任者に就かせるつもりなのである。


途中までは、彼の思惑は成功し、
京はデザイナーとしても超有名になり、
学校も大きくなってゆくが、
しかし、そんな不自然な関係が、
破綻しないはずもなく・・・。





原作は山崎豊子さん。
読んだのは随分前で、細かい事は忘れてしまったが、
大変に面白かった記憶があり、
ぜひ映像化した物を観たいと願っていたので嬉しい。
大筋は小説の通りだと思う。


田宮二郎といえば、「白い巨塔」のイメージが強いが、
この映画では、リアルな関西弁で屁理屈こねて、
ヘラヘラ調子ばかり良い、抜け目の無い男を演じ切っていた。
女たちも、それぞれの性格の違いを、
上手く表現していて面白い。


田宮のせいで、一度は恋人と別れ仕事に燃えるが、
悪女に徹し切れない若尾文子。
銀行員の父を持つ、計算高い叶順子。
末っ子的存在でありながら、
実は一番ドライで利口な中村玉緒。
(いつも思うけど、若い頃の彼女はめっちゃ可愛い!)


そして、この中で一番純真なのは、
意外にも、年長者である京マチ子だろう。
田宮によると、彼女は田宮と関係するまで男を知らず、
田宮と他の3人との事を知って一番ショックを受けるのも、
彼女なのである。


それから、田宮の大学時代の友人の新聞記者を船越英二が演じているのだが、
田宮と船越の関係は、
「白い巨塔」でいえば、財前と里見、
「沈まぬ太陽」でいえば、行天と恩地のようだといえば、
分かる方には分かっていただけると思う。
山崎豊子さん得意の手法だ。


洋裁学校が舞台とあって、
彼女たちの着ているお洋服も、モダンで素敵。
それから、当時の女性たちの帽子が、
今はあまり見ないような形で、それが逆にとても斬新。


評価 ★★★★☆

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