「越前竹人形」 [映画]
〔1963年/日本〕
現在、神保町シアターで催されている映画のテーマは、
「文豪と女優とエロスの風景」。
「若尾文子の映画にハズレ無し」
これは私が勝手に決めた持論であるが、
そう言いたくなるほど、若尾さんの映画はどれも面白くて、
現在、私がレンタルできる範囲の作品は、
ほぼ見尽くしたと言ってもいいくらい。
残る作品は、レンタル店の幅を広げるか、
ソフトを購入するか、
テレビ放送を待つか、
どこかの映画館でリバイバル上映されるのを待つかしか、
鑑賞の機会はないのだが、
神保町シアターの現在の催しの中に、
若尾さんの未見の作品が入っている事を知り、
嬉しくなって観に行った。
昭和初期、北陸の山奥の村。
竹細工作りの名人である父を亡くしたばかりの山下洵一郎の家に、
墓参りをさせてほしいと、若尾文子が訪ねてくる。
若尾は、山下の父に大変に世話になったからと、
わざわざ京都からやってきたのだ。
若尾の美しさを忘れられない山下は、
ほんの少しの手がかりを頼りに、
若尾を探す。
やっと見つけた若尾は遊郭の女郎であったが、
彼女に惚れてしまった山下は、
大金を用意して、彼女を身請けし、
新妻として祝言を挙げ、暮らし始めるのだった。
ところが、結婚して何日過ぎても、
山下は若尾に、夫婦らしい営みを求めようとはせず、
若尾に指一本触れない。
若尾がそれとなく誘ってみても、
はぐらかされるばかりで、埒が開かず、
若尾は寂しさを募らせるばかり。
そんな折、山下の作った竹人形の細工の美しさ、細やかさが、
京都の高名な人形屋の店主の目に止まり、
自分の店で売り出したいとの申し出を受ける。
数日後、打合せの為、店の番頭が山下の家に差し向けられるが、
その男は、以前遊郭で若尾の馴染みの客だった西村晃であった・・・。
やっぱり面白い。
若尾さんのみっちり肉が詰まったような体(デブではない)と、
そこから漂うような色気は、
女の私から見ても、物凄く魅力的だ。
そんな彼女が、
夫から放置され、
自分の体を持て余すなんて、
勿体無いというか、宝の持ち腐れというか。
こんな話がつまらないわけがない。
これ、なんといっても夫が悪いよ。
若尾と関係しない理由は、
自分の父親と懇意だったからというのが、
追々分かってくるのだけれど、
そんな事、最初から承知の上で嫁に貰ったんじゃないか。
なんとか、なんとか、
若尾さんには幸せになってもらいたいと願いながら観ていた。
女郎仲間の中村玉緒がとても可愛く、
少しの出番だが、
船頭役の中村雁治郎も、とても良かった。
評価 ★★★★☆
水上勉の原作は読んだことがあります。
by k_iga (2011-02-21 20:03)
k_igaさん
いいですねー。
私は以前、図書館で借りたのですが、
同時収録されている「雁の寺」だけ読んで
返却してしまったんです。
昨日また借りてきましたので、
今度は読んでみます。
by 青山実花 (2011-02-24 07:36)