「近松物語」

〔1954年/日本〕 　


香川京子は、実家の借金の為、
30歳も年上の大経師、進藤英太郎に嫁ぐ。
進藤は吝嗇な上に、店の若い女中に手を付けるような、
下劣極まりない男である。


ある日、香川の兄が香川の所に金の無心にやってくる。
しかし、今までに何度も進藤に実家の援助を頼んでいる香川は、
もうその事を進藤に言い出せず、
思い余って、手代の長谷川一夫に相談する。


長谷川は、なんとか店の金を都合しようとするのだが、
それが進藤に知られる所となり、大騒動となる。
長谷川は店を追われ、
そんな進藤にほとほと嫌気が差した香川も家を飛び出す。


しかし、二人が同時期に家を出た事で、
申し合わせの上の出奔と誤解され、
二人は不義密通の疑いを掛けられてしまう。


一方、成り行き上、一緒に旅する事となった香川と長谷川は、
最初は、内儀と使用人という関係を越える事はなかったが、
長谷川が香川に愛を告白した事をきっかけに、
本物の関係となってしまう。


二人は強く愛し合うが、
追っ手はもうそこまで近づいてきていた・・・。





長谷川が愛の告白をした以降の二人が、
物凄く官能的である。
なんだかもう、完全に出来上がっちゃってて、
お互いなしではいられない感じ。


おそらく、というか、絶対、
香川にとって長谷川は、初めて知った「本当の男」であろうし、
（進藤との関係は、どう考えても義務であろう）
長谷川も、憧れだった香川を手に入れる事ができて、
それこそ、無上の喜びだったであろうし。


不義密通ってのは凄い法律だな。
破る方は、
見つかれば、引き回された上、
磔にされるのを分かった上で、
いたしちゃうんだから。
それでも、一度火が付いた男女の暴走を止める事は
誰にでもできないんだろうけど。


評価　★★★★☆