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「流れる」 [映画]

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〔1956年/日本〕 


隅田川にほど近い芸者置屋、「つたの屋」を経営する山田五十鈴。
山田の娘で、どうしても芸者が性に合わず辞めてしまった高峰秀子。
山田の妹で、子どもを連れて出戻ってきた中北千栄子。
通い芸者の杉村春子と、
住み込み芸者の岡田茉莉子。


この置屋に、職業安定所から紹介されて来た田中絹代が
女中として住み込むのだから、
これはもう、当時の日本を代表する女優陣の
演技合戦と言っても過言ではないだろう。
男優も出ている事はいるのだが、まるで添え物だ。


「つたの屋」はその界隈では一流の置屋ではあるが、
内情は火の車。
山田に金を貸している、彼女の実姉の賀原夏子は、
彼女に、パトロンになってくれそうな男を紹介するが、
気の添わぬ男の世話になるのは嫌だと、山田は断る。
それなら置屋を売って、商売替えをしたらと勧める賀原。


無職で家にいるだけの自分に耐え切れず、
ミシンの仕事を始めようとする高峰に、
そんな音が外に聞こえたら、置屋の恥だと反対する山田。
とにかく全てが上手く回らないのである。


そんな中、一人素晴らしいのが、
女中の田中絹代である。
彼女は、優しく、よく気が付く働き者で、
その上、他の誰より品がある。
そして、「つたの家」の中のただ一人の部外者であるが故、
家の中で起こる様々ないざこざとは一歩身を引いて、
淡々と家事をこなす。
画面に彼女がいるとホッとする。


普段から私は、高峰秀子という女優は、
色気の無い人だなぁと思っていたのだが、
その堅い感じが、この映画では大変に良く生かされていた。


なんたって、杉村春子と大喧嘩になった時、
「男を知らないあんたに何がわかる!」と言われてしまうのである。
それに対して、
「男を知ってる事がどうして自慢になるのよ!」と言い返す高峰だが、
これはどう見ても、高峰の方が分が悪いでしょ。
だって、そう答えちゃ、
本当に男を知らない事を認めたようなものだもんね。
置屋の娘が男を知らないってのも、面白い話だけど。


評価 ★★★★☆

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