「奇跡の人」

〔1962年/アメリカ〕


ヘレン・ケラーとアン・サリバンの事は勿論知っていたし、
子供の頃は伝記も読んだ事がある。
しかし、二人の物語がこれほど壮絶であるとは、
大変にショックを受けた。


1歳半のヘレン・ケラーは、病気の末、
目も見えず、耳も聞こえず、口もきけないという、
三重苦を背負って生きていかねばならない運命となる。


ヘレンを不憫に思う家族は、
彼女を甘やかし、やりたい放題にさせた結果、
野生児のような少女に成長してしまう。


困り果てた両親は、家庭教師を頼み、
そこで派遣されてきたのが、アン・サリバンだった。
サリバンは施設育ちで、
彼女自身も全盲ではないが、目が悪く、
ヘレンの気持ちに寄り添う事ができる。
しかしその分、ヘレンへの躾は厳しく、妥協がない。
両親は迷いながらも、サリバンに賭ける事にする。


家族が食卓で食事をしている最中、
ヘレンはテーブルの周りを歩きながら、
各人の皿から手掴みで物を食べる。
家族は、もうその事に慣れてしまっているのと、
自分たちの会話を楽しみたいために、
叱ればパニックになるヘレンに何も言わない。
ヘレンはそこに存在しないかのように、好き勝手にさせる。


そこからまず直さねばと、
食堂で二人きりにさせてくれと頼むサリバン。
そこでのヘレンとサリバンのバトルは壮絶で、
長い時間を割いてそれを表現しており、
見入ってしまう。
これを観ると、子供を甘やかすという事は、
結局は逃げで、自分が楽したいからなんだと分かる。


ヘレンに手でアルファベットを教えるサリバンと、
最初は意味が分からず暴れていたへレンが、
物には全て名前があるのだと気付いた瞬間の表情が実に素晴らしい。
ヘレンの、「知りたい」という気持ちを上手く利用した、
サリバンの機転にも頭が下がる。


人生には様々な出会いがあり、
その出会いが運命を変えてしまう事があるが、
この二人もまさしくそれであり、
奇跡と言っていいだろう。
題名の「奇跡の人」というのはサリバンの事を指すそうだ。


評価　★★★★★

コメント 2

そうだったんですね！
ヘレンもですが、本当にすごいのはサリバン先生だよなあ、と
ずっと思っていたので・・すっきりしました（笑）

それからブログにお越しいただいて、ありがとうございました。
by yonta* (2011-02-14 00:46) 

ヘレン・ケラーは、
サリバン先生の教育の結果、
ハーバード大学に進学し、
その後、障害者教育に尽力されたそうなので、
もちろん立派な人なのですが、
それもサリバン先生あっての事だと思います。

こちらこそ、ありがとうございました。
これからも宜しくお願いします。

by 青山実花 (2011-02-14 22:35)