「渚にて」 [映画]
〔1959年/アメリカ〕
「人類は、平和を保つ為に武器を持とうと考えた。
それを使えば人類全てが絶滅する兵器を争うように作る。
核兵器競争が果てしなく続き、制御が利かない」。
これは劇中のフレッド・アステアのセリフだ。
それほど目新しさはない、平凡な言葉かもしれぬが、
この映画の中で語られると、
人間の愚かさを思い知らされるようだ。
1964年、第三次世界大戦が勃発。
北半球は核に侵され、
生存者は、とりあえずはまだ安全なオーストラリアに避難。
そんな中、サンディエゴから無線が入る。
アメリカ本土は壊滅状態の筈なのに、
まだ生存者がいるのか。
潜水艦でアメリカに無線の主を探しに行く、
グレゴリー・ペック、アンソニー・パーキンス、フレッド・アステア、その他の面々。
そして、オーストラリアにも、死の恐怖がジワジワと迫りつつあった。
艦員の一人が、サンディエゴに調査に入る場面に大変に緊張した。
「地球最後の男」や「アイ・アム・レジェンド」を逆から観ているようで。
この映画の素晴らしい所は、
終末を迎えようとも、
人々がパニックにならず、暴動も略奪も起こらず、
人間としての尊厳を守り抜いているところだろうと思う。
しかし、そんな誇りがあるなら、
なぜ核兵器を作るのか。
人間ほど利口な生き物はいないし、
人間ほど馬鹿な生き物もいない。
評価 ★★★☆☆
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