「満員電車」 [映画]
〔1957年/日本〕
題名から勝手に、サラリーマンの悲哀物だと想像していたのだが、
悲哀というよりは、風刺の効いたブラックな味わいの喜劇だった。
実際、主役の川口浩が満員電車に乗るシーンは一度しかない。
冒頭の、大学の卒業式のシーンや、
一組しかない布団に、川口と川崎敬三が一緒に寝る場面など、
爆笑できる場面がいくつかある。
新入社員として張り切って、30分で伝票の整理を終えた川口に、
「これは一日分だから、もっとゆっくりやらなきゃ駄目だ」と叱る上司。
川口は、ストレス(映画ではこの言葉は一度も出てこない。
でも現代なら絶対こう言うであろう)から、
歯、膝、尻と、原因不明の痛みに悩まされ、
無断欠勤から解雇となってしまう。
「この優秀な学歴が邪魔なんだ」と、
学歴を逆サバヨミをして、小学校の用務員に納まるが、
それがバレた上に、
「校長より高学歴とは、具合が悪い」とまたもや解雇されてしまう・・・。
なんとも説明し難い、このブラックな笑いのニュアンス。
川口の両親を笠智衆と杉村春子が演じるなど、
出演者も豪華。
評価 ★★★★☆
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